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活動レポート Report

女性も男性も安心して暮らせるように:バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプ支援

2022年7月15日

AAR Japan[難民を助ける会]は2017年以降、ミャンマーで武力弾圧を受けて隣国バングラデシュ南東部に大量流入したイスラム少数民族ロヒンギャ難民、および難民を受け入れている地域住民(ホストコミュニティ)への支援を続けています。バングラデシュのAARコックスバザール事務所、宮地佳那子が報告します。

女性に対する暴力を防ぐ

AARはこれまでに井戸・トイレ・水浴び室の設置と修理、女性と子どもの権利保護の2つの分野で支援事業を実施してきました。このうち女性の権利保護では、「ジェンダーに基づく暴力(GBV)」に注力しています。GBV被害者の多くは女性であり、特に夫から妻への暴力など「親しいパートナーからの暴力」が、GBV報告全体の8割以上を占めています。

AARは2019年以降、コックスバザール県テクナフ郡の2カ所の難民キャンプで、現地協力団体NGO Forum for Public Healthとともに、女性のためのフレンドリー・スペース(WFS)を運営しています。ここではGBVの個別支援、カウンセリング、医療施設などへの照会、啓発講座を実施しています。

ほぼ毎日行っている啓発講座は、GBVだけでなく、新型コロナウイルス感染対策などさまざまな要望やニーズに対応しています。WFSには授乳室、ミシン、竹製品づくりの材料も用意され、特に用事がなくても気軽に訪れて、安心できる環境で過ごすことができます。こうした日常的な活動を通じて、GBVの被害を受けたり見聞きしたりした場合、すぐにスタッフに相談できる信頼関係が醸成されています。

WFSでは難民自身が施設の運営に関わっているのも特長です。ボランティアのセタラさん(38歳)は「ボランティアになるまではGBVのことはまったく知りませんでした。今は近所の女性を訪ねて、WFSの紹介やGBVの説明をしたり、医療支援が必要な女性がクリニックに行くのに付き添ったりして、とてもやりがいを感じます」と話します。

女性が床に座って作業している

竹かごをつくるフレンドリー・スペースの利用者。難民キャンプでは竹かごは唐辛子を天日干しするのによく使われる(2022年6月29日)

男性たち自身の意識改革

GBVの予防・対応のために、男性による男性のための啓発活動も、難民とホストコミュニティ双方で導入しています。2022年7月初旬、難民キャンプでは男性ボランティア6人が、研修の一環として、自分たちが住む地区の地図を作っていました。AAR職員の助言をもとに、危険がある個所と内容を書き込んでいきます。

「この給水タンクがある辺りは、照明がないから夜は真っ暗だ」
「川の近くも暗い。この辺りで女性や子どもの誘拐があった」
「照明を設置してもらうために、マジ(難民キャンプの地区リーダー)に相談するのがいい」

男性ボランティアたちは、この「地域の安全」の研修をもとに、近隣の男性住民に呼びかけて、地域の安全のために一緒に何ができるかを考えていきます。対応に資金が必要な場合は、現金収入が極めて限られている難民自身が負担するのは困難なので、キャンプを管理するバングラデシュ当局や国連機関など関係者に要望するのが一般的な方法です。AARも照明の修理など、できる限り対応しています。

男性向けの啓発活動では「親しいパートナーからの暴力」「早期婚」「結婚持参金」「人身売買」などの研修が予定され、原則として毎回、同じ男性に参加してもらって学びを深めます。ボランティアのサラムさん(31歳)は「家族や隣人の間で口論が多いのが問題だと思う。啓発活動を通じて、みんなが仲良くなれるように貢献したい」と意欲を見せていました。

4人が地図を広げて囲んでいる

難民キャンプの地図をつくって話し合うボランティア。左端がAAR職員(2022年7月4日)

難民キャンプでの生活が長期化する中、子どもも女性も、男性たちも互いに助け合い、安心して暮らせる環境が欠かせません。AARは引き続き、権利保護の支援に力を入れてまいります。

※この活動は皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。

宮地 佳那子MIYACHI Kanakoバングラデシュ・コックスバザール事務所

女性の健康と権利の推進に取り組むNGOでの勤務、夜間大学院生を経て、2019年にAAR入職。ロヒンギャ難民支援に取り組む。

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