AAR Japan[難民を助ける会]は、記録的な洪水に見舞われたパキスタン北西部ハイバル・パフトゥンハー州で、食料配付や給水などの緊急支援を実施しています。被災者の中でも女性や子ども、障がいのある人々は特に困難な立場に置かれています。AAR東京事務局の酒匂まどかが現地から報告します。
「子どもたちも私も日々不安でいっぱいです」。アフガニスタン難民のタージ・ビビさん(28歳)は、傍らで泣く子どもをあやしながら話しました。同州ノウシェラ郡ケシギ・パヤン地区にあるアフガニスタン難民居住地は、8月下旬の洪水で家屋約50棟が流され、約100世帯・700人が被災しました。洪水が迫った時、は5人の子どもを抱え、200~300メートル先の高台まで必死になって逃げたそうです。
被災地では、女性や子どもたちが特に脆弱な立場に置かれています。難民居住地では、国連機関が仮設トイレを設置していたものの、男性は女性と同じトイレを使用するのを慣習的に好まないため、女性たちはトイレを使うことができません。女性や女の子たちは野外で用を足すしかなく、身体的にも精神的にも苦痛を強いられています。
また、今回の洪水で被災地の多くの給水施設が損傷したり汚染されたりしてしまいました。しかし、住民たちは飲み水を含む生活用水として、安全とは言えない水を使わざるを得ません。タージさんの子どもたちも下痢や発疹の症状を訴えるなど、感染症のリスクが高まっています。AARは給水車を手配し、安全な水を連日供給しています。
ショックで立てなくなった障がい児
障がい者世帯も苦境に陥っています。パキスタン人コミュニティのピル・サバック地区で会った8歳の男の子、マーズ君は足に障がいがあり、普段は補助具を使って歩行をしています。しかし、母親のグルナーズさん(30歳)は「洪水の後は不安や緊張のためか、体が震えたり力が入らなかったりして、立つことさえ難しくなっています」と訴えます。
隣で話を聞いていたマーズ君の兄ジャワード君(13歳)は「こんな大変な時だからこそ、障がいのある弟を守りたいし、両親の役に立ちたいと思っているんだ」。被災後の過酷な状況にあって、その頼もしい言葉に復興に向けた希望を少しだけ感じることができました。
AARは8月末に緊急支援を開始して以来、連日現場に入って活動しています。私たちは社会的に弱い立場に置かれている女性や子ども、障がいのある人々を引き続きサポートしてまいります。AARのパキスタン緊急支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。
被災者の命をつなぐAARのパキスタン緊急支援へのご協力をお願い申し上げます。
ご支援のお願い
パキスタン洪水被災者支援への
ご協力をよろしくお願い申し上げます。
※指定された緊急支援活動に必要な資金を上回るご協力をいただいた場合は、次なる緊急支援などに活用いたします。あらかじめご了承ください。
※AARは東京都により認定NPO法人として認定されており、ご寄付は寄付金控除の対象となります。
酒匂 まどかSAKO Madoka東京事務局
教員を経て2022年2月にAARに入職。東京事務局海外事業担当として、パキスタン事業などに携わる。