活動レポート Report

おいしいよ!キノコ栽培通じた社会参加:ラオス障がい者支援

2022年11月30日

自然豊かな山岳地帯にあるラオス北部ウドムサイ県。AAR Japan[難民を助ける会]は「障がいインクルーシブな地域社会推進事業」の一環として、障がいのある人々が自分で生計を立てられるように、キノコ栽培やヤギの飼育、バイク修理の技術研修を行っています。このうちキノコ栽培は特に需要があり、仕事に就くのが難しい障がい者にとって大切な収入源になっています。AARビエンチャン事務所の峯島昂佑が報告します。

キノコ栽培研修の参加者とAAR職員の峯島昂佑(中央)の写真

キノコ栽培研修の参加者とAAR職員の峯島昂佑(中央)


ムドンムサイ県ベン郡では雨期明けの10月頃、農家が総出で田植えをする光景が広がります。経済成長が続く首都ビエンチャンから遠く離れ、自然の中で暮らすこの地の人々は、とりわけのんびりした印象を受けます。

農業省職員を招いて10月に実施した栽培研修(3日間)には、障がい者26人と家族など介助者が参加し、①栽培パック(菌床)作り、②パックをドラム缶に入れて4時間蒸す殺菌作業、③菌糸の植菌(植え付け)の手順を実践的に学びました。水源さえ確保すれば、キノコは一度の仕込みで3カ月間ほど収穫が見込めるため、障がいがある人でも自分のペースで作業できる大きな利点があります。

栽培パックを作る研修参加者の写真

栽培パックを作る研修参加者

参加者は真剣な表情で講習に聞き入り、栽培パック作りでは、おがくずやコメなどの材料をビニール袋にしっかり丁寧に詰め込んでいました。メモを取れなかったり、説明を理解するのが難しかったりする人は、周囲がサポートし、互いに助け合う心温まる姿も見られました。修了後には、それぞれの自宅にAARから必要な資材を届けました。

収穫されたキノコ。成長するとこうなります

収穫されたキノコ。成長するとこうなります

生まれつき両足に変形があり、木の棒を杖代わりにしているチウワンさん(22歳)は、「キノコを上手に栽培して収入が得られたら、自分の銀行口座を開いて貯金したい。それを元手にして、将来はキノコを販売する店を持ちたいですね」。そして「今までは障がいのせいで何もできないと思っていましたが、研修を通じて気持ちが変わりました。AARの研修に参加できて本当にうれしいです」と笑顔で話してくれました。

研修参加者を手伝うAARのボウファサイ職員の写真

研修参加者を手伝うAARのボウファサイ職員

研修中にチウワンさんを手伝ってくれた同じ村のテンションさん(21歳)も、両脚の障がいと軽度の言語障がいがありますが、ラオス語とモン語を話せるので、モン語しか分からないチウワンさんのために通訳をしてくれました。研修後、2人が仲良く肩を並べて帰る姿を見送りながら、私たち自身が学ばなければならないことが多くあると感じました。テンションさん自身は、近くヤギ飼育の研修に参加する予定です。

右からテンションさん、チウワンさん、AARのカイソン職員の写真

右からテンションさん、チウワンさん、AARのカイソン職員

AARは障がい者が生き生きと暮らせる地域社会を目指し、心優しいラオスの人々に寄り添いながら、引き続き支援活動に取り組んでまいります。

ご支援のお願い

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峯島 昂佑MINESHIMA Kosukeビエンチャン事務所

大学を卒業後、専門学校で障がい者・児の支援を目的に理学療法士の資格を取得。 国立病院機構や療育センター勤務を経てAARへ。

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