活動レポート
パキスタン大洪水から1年半:被災した学校の衛生環境を整備
2024年3月27日
現在も世界には安全な水やトイレへのアクセスがない人々がいます。
「安全に管理された」飲み水とトイレ、
手洗いのための石けんや、衛生に関する知識がないことは
その地域のすべての人、特に幼い子どもたちの健康に影響を与え、
人々を下痢や感染症などの病気に罹るリスクにさらしています。
学校にトイレと手洗い場が
できてとっても嬉しい。アミーナ・ビビちゃん(11歳)
学校に水衛生施設ができたことや、身の回りの変化について嬉しそうに語るビビちゃん
パキスタンの小学校に通う、4年生のビビちゃん。
これまでは学校で不衛生な水を飲んだり、水のないトイレを使うしかなかったといいます。
「AARの支援で学校に衛生設備ができて、とっても嬉しかった。水をそのまま飲むことが下痢や嘔吐の原因になることを知ってからは、家でお湯を沸かすようにもなりました。」
※年齢は取材当時のものです。
AARは、弱い立場にある方々が
感染症の危険から身を守り、
安心して暮らせるように活動しています。
AARが配付した、マイセトーマの情報を付したノートを手にする村の子どもたち(スーダン)
顧みられない熱帯病※から地域の人々を守る
マイセトーマは、細菌や真菌が原因となって筋肉や骨を徐々に侵していく感染症です。2016年に、WHO(世界保健機関)により顧みられない熱帯病の公式リストに加えられました。AARは、マイセトーマ患者や住民に啓発活動を実施し、患者へ早期に診療および治療を促すことで、重症化を防いでいます。
※顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)とは、熱帯地域を中心に蔓延する感染症で、これまで主要な疾患とは考えられず、十分な対策がとられてこなかった疾患群です。患者の大部分が貧困層であることから、治療薬などの開発のための投資が進まないといわれています。
「きれいに手を洗ったよ」と誇らしげに両手を見せる子どもたち(パキスタン)
安全な水と適切なトイレを
パキスタンの小学校では、井戸の掘削、手洗い場や給水タンクなどの設置、トイレの建設や修繕を行ってきました。また、衛生啓発活動にも取り組み、正しい手の洗い方などを教えてきました。2022年に発生した大規模な洪水により被害を受けた地域では、感染症を予防し衛生的な生活を営めるように、石けんなどの衛生用品の配付や、井戸やトイレの修繕・新築などに取り組んでいます。