活動レポート Report

対人地雷廃絶に向けた取り組みと課題を共有:「禁止条約」シンポジウム開催

2025年6月9日

登壇者写真

左から、長有紀枝AAR会長、土井香苗HRW日本代表、清水俊弘JCBL代表理事、西山秀平ICRC駐日代表部 法律顧問、福岡秋文外務省軍縮不拡散・科学部通常兵器室課長補佐、紺野誠二AAR地雷対策担当

シンポジウム「岐路に立つ対人地雷禁止条約:いま世界で何が起きているのか」=立教大学大学院社会デザイン研究科・社会デザイン研究所主催、AAR Japan[難民を助ける会]、特定非営利活動法人 地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)共催=が6月6日、立教大学池袋キャンパスの太刀川記念館で開かれ、オンラインと合わせて全国から多数の皆さんにご参加いただきました。

毎日新聞動画へ毎日新聞「岐路にたつオタワ条約 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて相次ぐ条約脱退に警鐘」

中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表による地雷廃絶に向けたビデオメッセージ、および国連広報センター(UNIC)の根本かおる所長のあいさつに続き、プログラムではまず土井香苗HRW日本代表が、ウクライナやミャンマーにおける対人地雷被害の事例について報告。「トランプ政権の登場で地雷対策の最大の支援国だった米国の資金が失われる中、今年の対人地雷禁止条約締約国会議議長国の日本の役割はますます大きくなる」と話しました。

中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表

中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表によるスピーチ(ビデオメッセージ)

清水俊弘JCBL代表理事は、ロシアのウクライナ侵攻以降、条約締約国の間で離脱の動きが見られるなど、岐路に立たされる条約の現況を報告するとともに、条約発効以降の対人地雷廃絶の取り組みと成果を説明し、条約離脱の動きを押し留める働きかけが必要であると強調しました。

西山秀平赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表部法律顧問は、世界最大の人道支援ネットワークである赤十字運動がどのように対人地雷廃絶に関わってきたかを報告。福岡秋文・外務省軍縮不拡散・科学部通常兵器室課長補佐は、これまでの日本政府の国際協力について説明し、カンボジアを例として、地雷対策当事国の主体性と能力を強化するとともに、その当事国が地雷に苦しむ他の国々を支援する「三角協力」などについて紹介。最後に、紺野誠二AAR地雷対策担当は、「日本人の細やかさや丁寧さは地雷対策にとって有効。医療福祉分野の人材が地雷被害者支援の現場で活動できるように市民社会が支援してほしい」と訴えました。

質疑応答

質疑応答で会場からの質問に答える登壇者

質疑応答では、会場から「欧州諸国の条約離脱の動きが他に波及していく可能性は?」「人道面を考慮したとされるスマート地雷は普及していくのか」などの質問が寄せられ、「対人地雷廃絶の歩みを止めてはいけない」という方向性が共有されました。

AARはこれからもアフガニスタンやウクライナなどでの地雷対策活動を継続しながら、現場の声とともに地雷廃絶に向けた発信活動を続けてまいります。

ご参加いただいた皆さまに心より御礼申し上げます。

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