活動レポート Report

「再出発」する人々に食料や衛生用品を配付:シリア帰還民支援

2025年6月13日

2024年末にアサド政権が崩壊したシリアでは、国内外の避難先から故郷に戻る人が増え、生活再建への動きが始まっています。しかし日々の食料、電気、水といった基本的なインフラにも事欠き、人々は壊れたままの家やテントで暮らしています。AAR Japan[難民を助ける会]は、2025年4月から5月にかけて、帰還民の多い地域で、食料と衛生用品を配付しました。

(配付に携わったスタッフのメッセージは、こちらのスタッフ日記リンクから) 

物資配布の様子

現地協力団体による物資配付

「脆弱性」を見極めて支援

今回の事業は、現地パートナー団体と協力して実施しました。まず、行政当局から得た対象地区の住民リストをもとに、自宅が破壊されたか、世帯主に障がいがあるか、家庭内に障がい者や慢性疾患を抱える人がいるかなど、9項目について聞き取り調査を実施し、「家庭の脆弱さ」を確認しました。その上で、より生活再建が大変だと考えられる家庭を優先的に支援しました。当初予定していた支援世帯数は1,700世帯でしたが、入札によって物資の調達費が抑えられたため、最終的に2,800世帯(約14,000人)に支援を届けることができました。

支援物資は、栄養バランスを考慮した食料品と、基本的な衛生用品で構成しました。

食料
米10kg、砂糖5kg、挽き割り小麦6kg、レンズ豆4kg、油9ℓ、トマトペーストなど
衛生用品
石けん1kg、洗濯洗剤5kg、歯ブラシ・歯磨き粉、女性用衛生用品、シャンプー、おむつ、バケツなど
検品の様子

物資の検品を行う協力団体の職員

多くのお礼メッセージ

今回ほど多くの量の支援物資を一度に受け取ったことがない世帯が多く、一人で受け取り場所に来てしまったため、持ち帰れないケースもありました。そのため、配付場所を自宅の近くに移したり、スタッフが物資を自宅まで運んだりして対応しました。配付後は、「こんなに重い物資を運んできてくれて、本当にありがとう」といったメッセージが多く寄せられました。

受益者の一人で視覚障がいがあるフダさんは、「今回、障がい者が主な対象だと聞いて、とても嬉しかったです。これまでは支援団体が来ても、障がい者に対応するのは難しいことだと思われて、対象から外されることが多かったのです」と話しました。

避難民のテントが立ち並ぶ風景

自宅を破壊され、避難生活を送る人たちが住むテント

一方で、現地で行った調査では、「電気は6時間に1時間、水道は週に1回しか供給されない」「1日の食事を1回に減らし、栄養価の低い食べ物を食べている」「子どもたちの大半は家族を経済的に支えるために働き、学校に行っていない」などの声が寄せられました。

シリア内戦は終結したものの、人々の困難はこれからも続きます。AARは、国内避難民と帰還民への支援を現地団体とともに進めています。シリア緊急支援へのご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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