2025年6月以降、パキスタンの各地で洪水が相次ぎ、全国で1,000人以上が犠牲となり、580万人以上が被災しました。AAR Japan[難民を助ける会]は同年11月から、北西部ハイバルパフトゥンハー州バタグラム郡で、被災した小学校への支援を実施しました。パキスタン事業担当の紺野誠二が報告します。
学校や給水施設の復旧
首都イスラマバードから車で約5時間の距離にあるバタグラム郡は、2025年6月~7月に断続的な大雨や洪水に見舞われ、50カ所以上の道路が寸断され、44カ所の給水施設、28校の学校施設が被害を受けました。AARは郡内の5つの小学校を対象に、洪水被害を受けた施設の修繕を行い、また、子どもたちの身を守る力を養うために、防災や衛生に関する啓発活動も実施しました。

新しく設置した黒板で算数を学ぶ子どもたち=2026年5月18日
活動を進めるうえで特に配慮したのが、現地の状況に合わせた支援を行う、ということです。バタグラム郡の電力事情は極めて深刻で、1日に数時間しか電気を利用できません。このような事情から、トイレや手洗い場で使用する井戸水の汲み上げには、ソーラーパネルによる電気を利用するようにしました。
子どもたちを守る防護壁

大雨の影響で今にも崩落しそうな小学校の防護壁=2026年1月19日
パキスタンでは反政府武装組織による学校への襲撃が後を絶たず、同州では2026年に入ってから9回の襲撃があり、学校が破壊されるなどして1,000人以上の子どもたちが教育を受ける機会を失いました[1][2]。こうした危険から子どもたちを守るため、多くの学校では周囲に防護壁が設置されており、壁がなければ子どもを安心して通わせられないと考える保護者も少なくありません。
山岳地帯のバタグラム郡では、その防護壁が土砂崩れによって崩落・損壊してしまいました。AARはこの防護壁の修繕も行い、より堅牢につくり直すことで、襲撃や土砂が教室に流れ込むリスクから子どもたちを守っています。

補修された校舎の後ろ側の防護壁=2026年4月16日
気候変動の影響もあり、パキスタンでは毎年のように水害が発生しています。また、子どもたちの安全を脅かすような事件も生じています。AARは、パキスタンの子どもたちが安心して学べるように、今後も活動を続けてまいります。パキスタンでの支援活動にご協力くださいますよう、お願い申し上げます。

AARが修繕した学校施設のバタグラム郡への引き渡し式。左から、バタグラム郡知事、AARシーマ職員、郡教育局長(女性部)、郡副知事(災害支援担当)=2026年5月18日
ご支援のお願い
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※この活動は皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。
[1] UNICEF calls for protection of schools following attacks in Khyber Pakhtunkhwa
[2] Pakistan OBSERVER:UNICEF raises alarm over rising School Attacks in northern Pakistan

紺野 誠二KONNO SeijiAARパキスタン事業担当
2000年AARに入職し、2005年パキスタン大地震の被災者支援に従事。その後も、東京とパキスタンを行き来しながらパキスタン事業に携わり、現在は、東京事務所で地雷・不発弾対策なども担当



