こんにちは。ザンビア駐在員の小林鮎実です。日本はこれから夏本番といったところだと思いますが、ザンビアは7月が一年の中でもっとも冷え込む時期です。ヒートテックと毛布を手放せない毎日です。
300人以上が学んだ英語教室
6月18日、現地スタッフを含め私たち職員が心待ちにしていたイベントが行われました。AARがメヘバ難民居住地で2025年9月から8カ月にわたって開催していた、英語(識字)教室の卒業式です。この大人向け英語教室については、募金キャンペーンやSNSなどでも取り上げているので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
第3回目となる今年の卒業式は、生徒の皆さんにとっても、私たちにとっても特別なものでした。2023年に開始したこの英語教室は3年間のプログラムで、今年で終了となるため、今回の卒業生が最後の卒業生でした。

卒業証書を手にする卒業生と小林鮎実(中央)=2026年6月18日
英語教室は、難民居住地に暮らす人々の間で徐々に口コミで広がり、3年間で300人以上の難民の方々が参加しました。この英語教室は、私たちが実施している他の事業と比べて、受益者との距離が近い活動です。3年間で大勢の人々と出会うことができました。

真剣に学ぶ生徒の皆さん。英語教室は屋外で開催することも
強く印象に残っている参加者のひとりが、2025年の夏募金キャンペーンでも取り上げたアイリーンさんです。昨年、上級コースで一人だけ試験に落ちてしまったのですが、めげずに今年同じコースへ通いなおし、無事卒業を果たしました。以前は自分の英語力に自信が持てず、授業中も控えめな様子が目立っていたので、今年の4月に教室を訪ねた際、彼女が他の生徒の前に立ち、英語で堂々と自分の意見を発表する姿には心底驚き、心を動かされました。

教室に通うアイリーンさん(左)
「A、B、C、」と書くのもやっとで、英語をまったく理解できなかった1年目の参加者のカララさんは、3年間教室に通い続け、今では英語でスピーチができるまで成長しました。ご夫婦で教室へ通い、先に卒業した旦那さんに追いつこうとがんばっていた方も、今年無事、上級コースを卒業しました。

堂々と英語のスピーチをするカララさん
娘さん2人が教室へ通い、ぐんぐん英語力を伸ばしていく姿に驚き、「娘たちが家で話している英語を俺も分かるようになりたい!」と、一緒に教室へ通い始めたお父さんもいました。英語力を伸ばし、ルサカの大学へ進学を決めたオデットさんや、難民居住地内の小学校に先生として就職した方もいます。
卒業式当日:涙と笑いと力強いハグ
そんな一人ひとりの歩みと、生徒をそばで見守り続けた講師たちの想いがひとつに集まり、涙あり、笑いあり、アフリカン音楽ありで爆発したのが最後の卒業式でした。
14時ごろ、会場に人が集まってきました。みんなお気に入りの服に身を包み、この日を楽しみにしていたことが伝わってきます。集合時間は伝えていましたが、時間通りに人がそろうことはまずありません……。もう慣れっこなので、ちっとも驚きません。
その横で、AARのプロジェクトマネージャーと司会を務める講師の一人が何やらあわただしく話し合っています。どうやら司会進行のプログラムを作成しているようです。「前日までにできただろうに……」と思ったりもしますが(笑)、日常茶飯事なのでこれも驚きません。
15時も過ぎたころ、いよいよ(ようやく)、卒業式が始まりました。卒業生の家族や友だちもお祝いに駆けつけており、会場は満員ですごい熱気です。司会進行を務めるのは、2023年から講師を務め、生徒からの信頼も厚いバスコ先生です。私のつたない開会のあいさつの後、いよいよ生徒一人ひとりに卒業証書が手渡されます。
最初に名前を呼ばれた卒業生は、感動で涙していました。嬉しさのあまり、踊りながら証書を受け取りにくる方も多くいました。私たち職員や講師たちは前に並び、証書を受け取る卒業生と握手をしたり、ハグをしたりするのですが、喜びが爆発しているときのアフリカンママさんたちのハグのエネルギーはとてつもなく力強いため、油断していると後ろに押し倒されてしまいます(笑)。そうならないよう、こちらも全力で構えます。その様子を見て、現地職員は大笑いでした。

力強いハグを受け止める小林
卒業証書授与の合間には、英語で覚えた身体の各部分や、曜日の歌など成果発表に加え、卒業生代表による英語スピーチも行われました。レベル別でクラスを分けていたため、普段は別々の教室で学んでいた生徒さんたちも、お互いの発表をあたたかく見守り、拍手と指笛で讃え合っていました。最後はみんなで卒業証書を掲げて解散となりましたが、会場を出た後も、記念撮影がなかなか収まりませんでした。
その一瞬を、心の底から楽しむ才能
難民居住地内のマーケットを歩いていると、声をかけられることがよくあるのですが、最近はもっぱら「次の英語教室の開催はいつ?」と聞かれます。事業が完了したことを説明しますが、なかなか受け入れてもらえません。私をまっすぐに見つめる人々の目は、真剣そのものか、期待で輝いているかのどちらかなので、胸が締め付けられます。
日本で、日々の食事や眠る場所に不自由なく生きてきた私にとっては、想像しがたいほど、この教室に通った生徒さんが抱える過去や日常生活はハードなものです。しかしその一方で、難民居住地に暮らす人々は、日常の「みんなで盛り上がる(楽しむ)」隙を一瞬も逃しません。そうやって、また明日へのエネルギーを補給しているのではないかと思ったりします。その才能があれば何でもできるのではないかと、ここで生きる人々の可能性を改めて感じさせられた一日でした。

今後の目標や語教室への感謝を話す卒業生
学びは、続いています。今年6月から、英語教室の上級コースの卒業生向けに、パソコンの基本的な使い方などを学べるビジネススキル教室を開講しています。これは、以前から強い要望があったものです。ついに開講が叶い、参加者は前のめりそのもので、本当に嬉しいです。ご支援くださる皆さまへの感謝の気持ちと、参加者の成長が楽しみな気持ちでいっぱいです。

小林 鮎実KOBAYASHI Ayumiザンビア・メヘバ事務所
大学在学中にボランティアとしてケニア・ウガンダに滞在。民間企業勤務の後、2023年1月AARに入職。ケニア駐在を経て2024年8月よりザンビア・メヘバ駐在



