AAR Japan[難民を助ける会]はパキスタンで、小学校の学習環境を整える活動を10年以上にわたって続けています。このほど、北西部ハイバル・パフトゥンハー州アボタバード郡の2校で、トイレの修繕と教育設備の提供を行いました。

衛生に関する授業に、熱心に聞き入る子どもたち
トイレが使えない、椅子が足りない
パキスタンの小学校のトイレは、壊れたままになっていたり、水が出ずに使えなかったりすることが珍しくなく、「トイレが使えないから学校に行きたくない」という子どもも少なくありません。また、机や椅子が足りず、コンクリートの床に敷いた薄いじゅうたんの上で身を寄せ合って学ぶ姿もよく見かけます。底冷えする冬には、子どもたちの体調にも登校意欲にも悪影響が及びます。
AARはこうした問題に対処するため、トイレの設置や机、椅子の提供などの活動を10年以上続けています。また、学校のバリアフリー化にも取り組み、就学率が低い障がいのある子どもや女子児童が安心して通える環境づくりを進めてきました。

AARが修繕した学校のトイレ
椅子に座って勉強できるのがうれしい
首都イスラマバードから車で約2時間、アボタバード郡の住宅地にある女子小学校には519人の児童が通っています。隣接する女子中学校の生徒も校舎の一部を間借りしており、校内はいつも混み合っています。しかし、トイレは全部で4基だけしかなく、休み時間には長い行列ができていました。そこでAARは、校舎裏で何年も放置されていたトイレ3基を修繕。ドアは壊れ、便器はひび割れていましたが、建物の構造は丈夫だったため、費用を抑えてスムーズに改修できました。
465人の児童が学ぶ街の中心地にある学校では、以前トイレを修繕した際に、校長先生から「子どもたちの椅子を何とかできないか」と相談を受けており、今回150脚の椅子を提供しました。教室が狭く児童数も多いため、テーブル付きの学習椅子を選びました。4年生のウナマさんは「椅子に座って勉強できるのが嬉しい。教科書を机に置けるのも便利です」と話してくれました。

AARが提供した学習椅子
衛生啓発も実施
両校では、石けんを50個ずつ提供するとともに、「トイレのあとは石けんで手を洗いましょう」といった基本的な衛生啓発も行いました。女子小学校の校長先生は、「子どもたちは新しいトイレに大喜びです。衛生係になった児童がトイレをきれいに使うよう呼びかけるなど、学校全体できれいな環境を保とうと前向きに取り組んでいます」と話してくれました。
パキスタンの学校環境は、まだまだ十分に整っているとはいえません。AARはこれからも、子どもたちが楽しく健康的な学校生活を送れるよう活動を続けていきます。

手洗いの大切さなどを伝える衛生啓発授業
※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、フェリシモ基金の助成を受けて実施しました。

紺野 誠二KONNO SeijiAARパキスタン事業担当
2000年AARに入職し、2005年パキスタン大地震の被災者支援に従事。その後も、東京とパキスタンを行き来しながらパキスタン事業に携わり、現在は、東京事務所で地雷・不発弾対策なども担当



