活動レポート Report

台湾NGO「MSM」が熊本地震の被災地を視察

2026年8月17日

AAR Japan[難民を助ける会]が行う熊本地震緊急支援に大きなご支援をお寄せくださった台湾のNGO「基督教芥菜種會」(The Mustard Seed Mission:MSM/本部:台北市)のメンバーが来日し、8月11、12日の2日間、AAR職員と熊本地震の被災地を視察しました。

遊歩道はひび割れており周りにはがれきが落ちている

地震で崩れ落ちた遊歩道を眺めるMSMのメンバー=氷川町で8月11日

MSMは1952年に設立され、台湾の少数民族への支援や、台湾や海外での大災害発生時の支援を行っています。AARは2024年の台湾東部地震、2025年の同地洪水被害でMSMと連携して緊急支援を実施しました。その信頼関係から、今回の熊本地震発生直後に9万ドル(日本円で約1,400万円)の活動資金をAARに託してくれました。

視察は、6人が2グループに分かれ、障がい者の関連施設や一般避難所、被災した外国人支援のためのAARの物資配付拠点「BAR.BASE」などを訪問しました。初日に訪れた宇城市の障がい者支援施設「熊本こすもす園」や「宇城きぼうの家」では、避難のため一室で数人が共同生活を送る現状にストレスが溜まっていることや、居住棟などの修繕の見通しが立てにくいなどの説明を受けました。氷川町大野にある「道の駅竜北」では仮設トイレを視察。マンホール上にテントや便座を設置する「マンホールトイレ」や移動式トイレカーは今回初めて見たといい、熱心に観察していました。

災害時の外国人支援は「共通の課題」

非常食や飲料水が机に並んでいる

外国人向け物資配付場を視察したMSMのメンバー(左から2人目と同4人目)と、AAR職員=氷川町宮原の「BAR.BASE」で8月11日

「BAR.BASE」では「配付用物資の中に、なぜフィリピンの魚の缶詰があるのか」との質問も。AAR職員が、この地域にはフィリピン、インドネシアなど東南アジア出身の被災者が多く、味になじみのある食品の配付に努めていることを説明すると、「台湾にも多くの外国人労働者が暮らしており、災害時の支援は大きな課題です。日本と共通の問題ですね」とのコメントが返ってきました。

「熊本加油(がんばれ)」の応援に感謝の声

2日目には、八代市の障がい福祉事業所「とら太の会」や、同市の避難所となっている八千把コミュニティセンターを訪れ、AARと協力団体が行っている炊き出しを見学したり、被災者から直接話を聞いたりしました。

エビフライやスパゲッティがお皿に持ってある

左)「熊本加油」と書かれた台湾の旗がついた炊き出しのランチ。右)旗作りとデザートのスイカの準備を手伝うMSMのメンバー=「とら太の家」で8月12日

「とら太の家」では、職員の山下うららさんが「地震発生時は、ちょうど利用者を自宅に車で送り届けている最中だった。あちこちで道がひび割れて、大変怖かった」「10年前の熊本地震の記憶がトラウマのように残り、緊急地震速報の警告音でパニックを起こす障がい者がいる」「施設利用者のほか地域の人のために120食を用意しているが、水と食材の確保が大変」などと説明。この間、やや大きめの地震が起き、MSMのメンバーもテーブルの下に避難する一幕もありました。

八千把コミュニティセンターでは、MSM職員が炊き出しのソーメンの配付を手伝いながら被災者から話を聞きました。地震発生当日から同センターに避難しているという70歳の男性は、地震で肋骨3本を骨折し、自宅の片付けもままなりません。台湾人の友人がおり、「加油(がんばれ)」と連絡をもらったといいます。MSM職員の男性を見つめ、「台湾が大好きだ。こんなつらい時に、台湾は日本のことを助けてくれて、本当に感謝しかない」と声を震わせながら伝えていました。

被災した男性から話を聞くMSMとAARの職員

被災者(中央)の話に耳を傾けるMSMの職員(左)=八千把コミュニティセンターで8月12日

MSM職員の江崇維(チアン・チョンウェイ)さんは「実際に被災地を訪れ、被害を目の当たりにするとともに、被災者の方々から詳しい状況をうかがい、被害の大きさを改めて実感した。今回の知見を今後の支援に活かしていきたい」と話していました。

AARは、台湾をはじめ世界中の皆さまから寄せられたご寄付と温かいお気持ちを、熊本地震の被災地に届けてまいります。熊本地震緊急支援へのご協力を、引き続きお願い申し上げます。

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