石川県や富山県で8月27日に発生した線状降水帯による大雨は、能登半島地震の被災地に甚大な被害をもたらしています。AAR Japan[難民を助ける会]が震災以降に支援を続けている福祉事業所でも、高価な機材や車両が使えなくなるなど、事業継続の危機に関わる被害が生じています。AARは、浸水被害を受けた事業所や家屋の泥の除去や清掃を行いながら、事業所の再開に向けた支援を進めています。

豪雨によって浸水したNPO法人「b-らいふ」の施設=富山県氷見市で8月27日
送迎車10台が水没
AARが能登半島地震への被災者支援としてサポートしている富山県氷見市のNPO法人「b-らいふ」は、障がい者の就労継続支援A型・B型、就労移行支援、カフェ事業などに取り組んでおり、38人が利用しています。
今回の大雨でも深刻な被害を受けており、拠点となる建物が床上45センチまで浸水し、利用者さんを自宅から作業現場に送迎する車両10台も水没しました。職員や利用者さんは片付けや清掃に追われており、9月1日時点でも被害の全容は把握できていません。

「b-らいふ」が運営するカフェから運び出された家具や機材
特に深刻なのが車両です。b-らいふは市内の企業から仕事を請け負う施設外就労の割合が高く、利用者を作業現場へ送迎するため、現在はレンタカー5台を借りて対応しています。永森栄一理事長は「水没した車両10台のうち何台動くかもわからない。送迎車がなければ利用者は仕事ができず、かといってレンタカーを借り続ければ費用がかさみ、事業経営そのものが危うくなる」と話します。
泥の除去や片付けを支援
また、石川県羽咋市の一般社団法人「つながり」が運営するカフェや就労継続支援B型事業所でも床上浸水があり、建物やエアコン、オーブンなどが被害を受けました。AARは、建設関係の専門技術や機材を持つ協力団体「風組関東」とともに、浸水した床の掃除などをサポートしながら、電気設備を安全に復旧するための準備を進めています。

「つながり」の関係者と清掃を行うAAR能登事務所の栁町幸平(中央)=羽咋市で8月29日
各施設の「事業継続計画」に沿った支援
介護・障害福祉サービスを提供する事業者は、自然災害の際に重要な業務を早期に再開できるよう、「事業継続計画」の策定が義務づけられています。しかし、人手や資金に制約がある小規模な事業所では、今回のような大規模災害では計画どおりに対応できるとは限りません。施設の清掃や復旧には専門知識や技術も必要となるため、AARは専門性を持つ団体と協力しながら、各事業所が早期に事業を再開できるようサポートしています。

浸水した店舗の清掃=石川県羽咋市で8月28日
このほか、能登半島地震に続いて、今回の大雨で家屋の床上浸水や雨漏りの被害を受けた個人からも複数の支援要請が届いており、AARは被害状況を確認したうえで対応策の調整を進めています。
熊本地震をはじめ、世界各地で大規模な自然災害が続いており、それぞれの災害が大きく報道される期間が短くなっています。それでも被災地では、暮らしを立て直すための支援が変わらず必要とされています。AARの能登半島大雨被害への緊急支援にご協力くださいますよう、改めてお願い申し上げます。



