AAR Japan[難民を助ける会]は熊本地震の被災地で、外国人被災者への支援を続けています。外国人被災者は、日本語でのやり取りが難しいことや移動手段が限られていることから、支援や支援に関する情報を得にくく、被災後の厳しい環境の中で孤立しやすい状況にあります。AARは戸別訪問などを通じて一人ひとりの状況を確認し、必要な支援につなげています。

支援拠点で物資を受け取る外国人の農業実習生ら=熊本県宇城市
技能実習生へ物資配付
AARは、熊本県外国人サポートセンターから寄せられる情報をもとに、宇城市、氷川町、八代市などで暮らす外国人被災者への物資配付を続けています。主な対象はベトナム、インドネシア、ミャンマー出身の実習生で、数人に配付することもあれば、90人ほどを対象にして実施することもあります。
実習生の多くはもともと経済的に厳しい状況にあり、そこに被災による負担が重なっています。ほとんどは車を所有しておらず、多くの場合、自転車しか移動手段がありません。震災前に利用していた地域の大型スーパーなどが閉店したり営業時間を短縮したりしていることに加え、農繁期で職場が忙しく、食料品の買い物に行けないという声も聞かれます。
さらに、多くは避難所を利用しておらず、日本語でのやり取りも難しいため、どのような支援が必要かが把握されにくいという課題もあります。そのためAARは、物資配付をきっかけに一人ひとりの生活状況を確認し、必要に応じて他の支援へとつなげています。

集合住宅での支援について他の支援団体と協議するAAR櫻井佑樹(左)
多国籍の住民が暮らす団地を支援
宇城市のある集合住宅には、インドネシアやミャンマー、ベトナム、スリランカ、フィリピン、ネパール、バングラデシュ出身の38人が暮らしています。地震で上下水道が被害を受けたため、飲み水や排水、トイレ、風呂などが使えなくなりました。約20人は宗教上の理由からハラール食でない支援物資や炊き出しの食事を口にすることが難しく、多言語での情報提供も課題となっていました。住民の中には妊婦や新生児を抱える母親など特に配慮が必要な人もいます。さらに失業した住民もおり、収入の確保が大きな課題となっています。
AARは、宇城市が9月14日に集合住宅内に設置した水循環型の仮設シャワーの運営や管理を担いました。毎日15人ほどが入浴に訪れ、順番を待つ時間は、住民の皆さんの困りごとを聞く貴重な機会となりました。
AARから水や食料、体温計を受け取ったバングラデシュ出身の女性(31歳)は、第一子を出産して1カ月が経ったばかり。自宅の排水が復旧しない中、「シャワーや洗濯は友人宅を借りており、哺乳瓶を清潔に保つことも容易ではありません。母乳の出も十分ではないので、液体ミルクなどの支援はとても助かりました」と話してくれました。

集合住宅に設置した仮設シャワー
一人ひとりの暮らしに目を向けて
熊本地震の被災地では、住まいやライフラインの被害に加え、言葉や移動手段など複数の課題に直面している外国人被災者が多くいます。一見、自力で問題なく暮らしているように見えても、実際には厳しい環境で生活している人が少なくありません。AARは物資を届けるだけでなく、配付時の会話や訪問を通じて一人ひとりの状況を把握し、さらに必要な支援につなげることを大切にしています。
今後も外国人サポートセンターや地域の支援機関、関係団体と連携しながら、外国人住民に寄り添った支援を届けてまいります。AARの熊本地震緊急支援にご協力くださいますよう、お願い申し上げます。



